劇団解体社『バイバイ――リフレクション』

紹介されて解体社を観るようになって早10年。1999年に始まったこの『バイバイ』シリーズも、おかげで全部(東京での公演は)観ていると思う。そういう意味ではおなじみのパーツの組み合わせが積み重なってどこを切ってもそれなりに見所があったように思うが、逆に言えば一点豪華主義的な作りではなかった。舞台が広かったせいか、今まで以上に、イデオロギーと身体表現とがバラバラにごろりと転がっているような印象があった。しかしそれが「失敗作」という印象ではなく、むしろある種の「希望」を示しているように見えたのは(解体社らしからぬ後味だということも含め)不思議であった。「人間性」や「歴史」の終わりが宣告され、この作品はそれに正面から抗おうとはしていない。軍事システムは大衆文化と手を結び、解放されたかに見える人々は容易に支配へと巻き込まれる。しかし、それがどうした。それでも人間は存在し、歴史は続くとしか言いようがないではないか。そう開き直っているように見えた。会場で買ったパンフレットでの対談を読むと、私の印象もあながち的外れではないのかもしれない。二日目からだいぶ内容が違ってくるかと思うが、日曜日までなので時間のある方はどうぞ。
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