『昭和天皇』原武史(岩波新書)

昭和天皇 (岩波新書 新赤版 1111)
原 武史
岩波書店 (2008/01)
売り上げランキング: 3223
ザコン気味のオタク天皇が非合理な信仰にのめりこんでいく過程を描く。史料が少ないので推測が多くなっているようだが、等身大の裕仁像に迫っていると言えるのではないか。本書のもう一つのテーマは、皇室祭祀が「創られた伝統」に過ぎないということ。そもそも「明治」以降に「発明」された祭祀を、天皇の都合で増やしたり削ったり代理で済ませたり、要するにどうにでもできる。頑張って祈ったところで全く効果がなかったことまで書かれていて、皇室祭祀に存在意義を見出すことの馬鹿馬鹿しさが伝わってくる。