『東京から考える』東浩紀+北田暁大(NHKブックス)

政治的に正しい」けれど図式が空回りしがちな北田に対し、実感を根拠に語るため危い議論に踏み込みがちな東。二人とも「若手」では相対的にまともな「論壇人」なのだろうが、どうしても違和感が残る。神奈川方面以外なじみのある地名が多く出てきて、その点は面白かったが、東京圏になじみのない人たちにはその意義すらないのではないか。「ジャスコ的」などの大事なキーワードが曖昧なままで、印象論の垂れ流し。「あとがき」で、東との「視点の相違」が明らかになったと北田が書いていてその通りだと思うが、それにどんな意義があるのか。こんなに弛緩したやりとりが帯によると「白熱の討論」なのだそうで、NHKブックスの考える「思想」も程度が知れる。