『就職がこわい』香山リカ(講談社)

就職がこわい
就職がこわい
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香山 リカ
講談社
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香山リカらしい、身近な事例と社会の話がなんとなく結び付けられた議論。細かい批判をしていけばキリがないとは思うが、「就職」に限らず、最終的に問題になるのは「現代の若者はかつてと比べて大きく変貌しているのか」という点だと思う。否定的であれ肯定的であれ、「若者」はいつの時代もかつてとは違う存在として描かれ、しかもそれはそれなりに妥当する面があったように思う(そうでなければ「世代論」というジャンルは全く成立しない)。「最近の若者は今までとは大きく違う」という香山の直感を受け取るべきなのかどうか。香山は「解離」と言っているが、リアリティの分割という主張は、他でもいろいろ言われていることであって(私は胡散臭く思っているが)、本書の主張はそれらの現代社会論と重なることになる。