『日本という国』小熊英二(理論社)

日本という国 (よりみちパン!セ)
小熊 英二
理論社
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出ているのは知っていたがどうも読む気にならず放置していた。ちょっときっかけがあって一気に読む。コンパクトにまとまっていて、特に戦後の対米関係の「入門書」としては便利だと思う。そういうわけで、広く読まれた方がいい本だということは前提にしつつも、最近小熊英二の議論が平板に見えてくるのはなぜなのだろうか、とも思う。広く文献を踏まえているから、一面的な「ナショナリスト」には良い解毒剤(または嫌味)になっていると思うのだが、それはある主張を突き崩しているのに過ぎないのであって、では著者自身としては立体的にどう分析できるのか、という点は弱いのではないか。本書で全て展開すべきだったと言いたいわけではなく、全体的な小熊のスタンスへの違和感なのだろう。