『私の毛沢東主義「万歳」』中岡哲郎(筑摩書房)

私の毛沢東主義「万歳」 (1983年)
中岡 哲郎
筑摩書房
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著者の文革認識の変化(反省)も興味深いが、工業化の「型」の問題、あるいは工業化を可能にする諸条件の連関の話はとても面白かった。単に技術史の領域だけでなく、近代化という問題にとって重要な議論だと思うのだが、果してどれだけ受容されているのだろうか。『日本近代技術の形成』も読んでみたくなった。ただ、文革から距離をとろうとする文脈であるため、工業化の「なめらか」な発展が強調され、それさえ達成されればいいかのような議論になっているのは違和感。「待業青年問題」など今の日本にも通ずる問題であり、収支を度外視してそれを「解決」しようとする発想はあっても良いのではないか。