『反貧困』湯浅誠(岩波新書)

客観的条件から言えば、私が貧困化するリスクはそんなには高くない(本書の表現で言えば多少の各種「溜め」がある)。しかしそんな私でも近年とても不安を感じることが多い。それは自分の中にある「自己責任イデオロギー」の強さを示していると同時に、社会全体がかなり厳しく「サバイバル」という状況になっているということでもあるだろう。本書の記述も他人事とは思えない気分で読んだ。終章でも触れられている通り、ここまで来ると、基本的なところから改めて考え直し作り変えなければならないという気が確かにしている。たとえば、アメリカがアフガニスタンで戦争をするのに莫大な日本の税金を使おうというのに、それに較べればほんの僅かな生活資金をケチって自殺や餓死に追い込む。どう考えてもおかしい。様々な立場の人が読むべき本だと思った。