『クルーグマンの視座』ポール=R=クルーグマン(ダイヤモンド社)

第三世界は第一世界の脅威ではない」とかいう辺り、興味深いが納得までは導いてくれない。専門書じゃないので仕方ないが。モデルの説明は、時間幅の違いもあるだろうし(短期的に「脅威」になることもあろう)、賃金は下がっても倒産・失業まではしないかのような言い方も気になる。で、納得しきれず立ち止まっていると、しれっとデータもそうだと言及するだけで終わってしまう。データもわかりやすく示してもらえればありがたかった。そもそも、この本の中身はほとんど10年以上前の議論で、かつアメリカの場合だから、これが現在の日本にも当てはまるかどうかはまた別問題なのかもしれないと思うが、訳者はそういう肝心なことを解説してくれない。