『殺人者の意思』鎌田忠良(三一新書)

殺人者の意思 (1970年) (三一新書)
鎌田 忠良
三一書房
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「列車爆破狂」と「連続射殺魔」の生い立ち等犯行の背景に迫った本。見田宗介の「まなざしの地獄」がだいぶこの本に依拠しているようだったので読んだわけだが、永山則夫よりも「列車爆破狂」の前半部分の方が容疑者に肉薄していると思えた。所々に勝手な個人的心理分析が差し挟まれるものの、「犯罪者」を個人的な問題ではなく社会の責任で考えていこうとする視線には時代性を感じる一方、好感が持てる。プライバシーの点で現時点から見ると相当踏み込んでいるので、今ではこういうノンフィクションは難しいんだろうなぁ。