「
社会学の
アイデンティティが揺らいでいる」という主張を前面に出している点に共感して読み始めたのだが…。まず「入門」という割に、回りくどくアチコチ話が飛んで、全然わかりやすくないと思う。しかも、進化論やら芸術やらにやたら字数を割くわりに、デュルケム・
ヴェーバー・
パーソンズくらいしか
社会学者が登場せず、「入門」どころか「
社会学」にもなってない。「
社会学=形式」を言いながら
ジンメルについて正面から検討しないのもいかがなものかと思うが、それ以上に、
ヴェーバーをデュルケムと同じく「方法論的社会(全体)主義」に位置づけるのは試験なら落とされてる。こういう話をするのであれば、そもそも「学としての
社会学」が成立するとはどういうことなのかについて真剣に考察して欲しかったが、結局制度の内側でしか
社会学と関わってない著者にはないものねだりか。まぁ期待した私がバカだったのかもしれないが、今後この著者の本を読むことはないだろうと思った。