『西の魔女が死んだ』梨木香歩(新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
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寝る前に少し本でも読むかと思ったが硬い本を読む気になれなくて、小説に逃避。短いので最後まで一気に読んでしまった。夜更かし読書はこの本の内容にそぐわないわけだが(笑)。内容的にはまぁ破綻もなく、教訓話としてはそれなりにまとまっていると思う。曖昧な部分はあるけれど「魔女」の言い分も賛同できる。最後には少しホロリとくる(まぁ人が死ぬ話はだいたいホロリとくるのだが)。しかし表現には結構違和感があった。地の文は主人公の「語り」に限りなく近いはずなのに、中学生ならば使わないような表現が連発されていて、冒頭から気になってしまう。そぐわない表現を用いて不思議な雰囲気を創りだそうとしているのか、単に気取った文体を目指して失敗しているのか、判断に困りつつ読み進むが、「エスケープ」というセリフが出たところで後者に決定。「エスケープ」なんて、今時の若者は使わんよ(笑)。土地を実際に譲渡していたことが後から判明したとか、時制も混乱するし、余計なエピソードではなかろうか。