『明治国家論』大薮龍介(社会評論社)

明治国家論―近代日本政治体制の原構造
大藪 龍介
社会評論社
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勉強になったし、刺激を受けたという意味で大変面白かった。政治学風の(?)あっさり分類主義で割といろいろ腑に落ちる。逆に分かりやすすぎてこれでいいのかと不安になる。講座派(的議論)への批判はその通りだとしても、理論自体の「魅力」もあったのだろうから、ときどき批判の仕方が一面的だと感じる。一方で、階級への着眼は旧来どおりにも見える。階級自体が国家・社会の分析概念としてどれだけ有効なのかということから再検討する必要があるだろう(他の本でやっているのかもしれないが)。さらにこういう「明治国家」の再評価をすると、つい肯定的傾斜をしてしまうわけだが、「初期ブルジョワ国家」として上出来だったというのはそれ自体大いに問題含みなわけで、「日清戦争はやむをえなかった」的な書き方なんかは賛同できない。