『日本型近代家族』千田有紀(勁草書房)

きっかけがあったので読む。薄いからすぐに読める。前半は「まとめ」色の強い内容。いろんな文献をバランスよくまとめているのだと思うが、参照が多いわけでもないので、そのまとめっぷりがあまり伝わらないかもしれない。また著者自身の考えもあまり打ち出されていない。後半で独自の議論。論争的な文章の方が生き生きしているように思えるが、今度は前提的知識がいろいろ必要で、一度さらっと学習したつもりでも難しく感じる部分が多かった。いずれにせよ、「家父長制」が結局何なのかという点など、著者の理論は未発で、言いたいことがないわけではないのだろうに、諸般事情で抑制しているように見える。そういう意味で、もどかしい本だと感じた。