『組織を変える〈常識〉』遠田雄志(中公新書)

日常的経験をモデル化して図解するというのは、単純なようでそれなりに発見的意義があると思う。その意味では斎藤孝の本に近い感じ。しかしそのモデルを、前提条件おかまいなしにブンブン振り回しているのを見ると、経営学ってなんて楽しそうな学問だろうと思ってしまう(まぁ外から見たら社会学も同じかもしれないが)。組織の定義や分類に興味があって読んだが、組織=常識の範囲という定義は明らかに広すぎてダメだろう。中盤の議論自体は面白いとは思うけど、結局統制か変化かという軸で、昔から変わってない話に見える。本書でもさんざん利用しているワイクの訳書を読んでみようと思ったが、アマゾンのレビューで翻訳についてボロクソに書かれていて(それ以外の人も「難解」と評していて)、買うのはやめた。