『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿(講談社)

絶望の国の幸福な若者たち
古市 憲寿
講談社
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以下はツイッターで書いたことの貼り付け。1)若者論は成り立たないと主張しながら若者を描こうという基本構造に無理がある。2)社会の構造を描こうとするのか意識を問題にしているのか、随所で混線している。幸福感を持つ若者も後の時代に大変になるといいながら身分社会になれば安定するかもというのは矛盾してる。3)前記の点とも関連するが、各章ごとはそれなりに面白い指摘があっても、全体のつながりがバラバラ。格差は国家としての持続可能性を損なうと言いながら、しあわせな居場所があればいいというのは、それが続かないから問題なのでは? 4)あれもダメこれもダメと否定してまわり、自分は「僕たち」という主語に隠れて責任回避。「する」かどうかを問題にすべきところを「なる」かどうかで表現。傍観者として一貫している以上、こういう曖昧な見通しの本にしかならないのも当然だろう。5)公と私の二者択一で後者を選ぶ、という論理自体が古いというか、吉本隆明主義者が好きそうな理屈。公と私の密接な絡み合いを理解をすべきだし、今目の前で起きてる放射能問題から来る政府や東電への怒りを見ても、身近な人間関係か天下国家かという二者択一は虚偽の問題設定。…等。思ってたよりも勉強家だと思うけど、それが本の価値に反映されてないのは残念。