『増補 放射線被曝の歴史』中川保雄(明石書店)

原発事故後にネットで紹介されていて、そんな本があるのかと気にしていたのだが、増補版で出なおしたのを偶然みつけ、購入。ICRPを中心とする放射線防護についての国際的権威が、いかにアメリカなどの核・原子力政策に「配慮」することで成り立っているかということを明らかにした本。ただ残念なのは、著者が死の病の中で仕上げた本であるため、一つ一つの指摘の出典が個別には明示されておらず、そのぶん説得力の点で弱くなってしまったように思う。現在の福島等の被曝状況について、増補された論文は便利だった。いずれにせよ引き続き自分自身で学習をせねばなるまい。