『吉本隆明が語る戦後55年1』吉本隆明研究会編(三交社)

死ぬまで読むことがないかもしれないとすら思っていたシリーズを必要に迫られて頭から読み始める。冒頭のインタビューはもともと連載記事だし、すらすら読めるしまぁまぁ参考になる。中盤の「論考」は、玉石混交というか、「世界思想」だの「深い」だのという判定不可能な基準を振り回すものやら、冷静に、しかし生産的誤読をするものやら、今後も一応全部読むが、毎回不思議な気分になるだろう。後半の再度のインタビューは、五年たって明らかに弛緩が進んでいて得るものは乏しい。