『社会学史入門』本田喜代治(培風館)

社会学史入門―社会史的考察 (1962年)
本田 喜代治
培風館
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ネットで検索しても、最近これを読んだり参照したりという人はあまりいないようなのだが、個人的にはかなり面白かった。というか、わかりやすく「唯物史観」的に位置づけているので、そのことの妥当性は大いに問題なのだろうけれど、当面の軸があるというのはとても有意義なのではないか。「社会学史」というのはどうも「社会学者紹介集」にしかなっていないことが多いように思えるが、それだと結局「社会学とは何なのか」というのはよくわからないままになってしまう。しかも下手すると、紹介すべき社会学者ごとに執筆者が分担されていたりして、得意領域を任せるという意味ではそれがベストに思えるのかもしれないけど、結果として視点が分散して、「こんなにあれこれ勉強しきれないよ」という気分にさせられる。器用な目配りなんかより「私の考える社会学」というのをちゃんと打ち出して、それに基づいて「こんなのは社会学じゃない」とか正面からケンカすべきなんじゃないか(笑)。否定された方もこれなら反論しやすい、というかその「私の考える社会学」の妥当性自体が吟味されることになって共通了解が進むんじゃないかな。