『グローバリゼーション・インパクト』厚東洋輔(ミネルヴァ書房)

前半は、モダニティを移転可能性として把握しそこからグローバリゼーションにつなげるのは理解できるし(ただし論点先取な気もしないではないが)、そうしたグローバリゼーションが(実質的な)一国主義的「全体社会」概念を揺るがせるという議論は説得的。一方後半は、ヴェーバー理論の再検討ということで、官僚制の分類など勉強になったし、ヴェーバー研究自体が詳細になった分閉塞しているという問題提起は(門外漢としても/ゆえに)心強い。しかし、前半と後半は全く無関係とは言えない(著者の中に軸が通っていることは伝わる)けれど、読者としてはあまり関連があるという印象は残らない。また総論賛成各論反対とでも言うのか、たとえば「全体社会」概念批判にしても、あくまで視角(方法論)が変わったという話であるはずなのにグローバル化で実体が変わったかのような指摘を根拠にしているのは納得しがたい。ちなみにどうでもいいことだが、こういう社会学な本を読むと、「社会学を勉強した!」という気分になれるので、個人的には嬉しい(謎)。