『アメリカの越え方』吉見俊哉(弘文堂)

「鶴見」の三人(祐輔を入れて四人)をアメリカを軸にして並べる、という発想自体は面白いと思う。ただ、全集・著作集から中心的「思想」を引き抜いてくるという感じなので、それぞれの思想の変化(発展)のダイナミズムまでは伝わってこず、割と大雑把な議論担っていると思う。著者自身は鶴見良行に一番可能性を感じているように見えるのは、意外な感じもして興味深い。真珠湾攻撃陰謀説を割と肯定的に紹介していて「おいおい」と思った。