『商店街はなぜ滅びるのか』新雅史(光文社新書)

実はあんまり期待してなかったのだけど(笑)、歴史を調べた厚みと、著者がいろいろ寄り道してきた幅広い知識が投入されていて、けっこう面白く読むことができた。なので新書としては読み応えのある本になっているとは思う。しかし、「商店街」を「主人公」にしているはずなのに、前半は零細小売店の話、後半はコンビニの話で、タイトルから連想されるような商店街の栄枯盛衰の話では必ずしもない。それの「部分」ではあるのだが、想定される中心の筋が空白のまま残されているような気がする。どこかの典型的な商店街の社会史的記述でもこれに加われば、もっとそれっぽい本になったのではないだろうか。