『経済ジェノサイド』中山智香子(平凡社新書)

寄り道読書をしている余裕はないはずなのだが、ネオリベ批判が面白そうなのでつい読み始めてしまう。しかし期待が高すぎたせいか、分量が多い割に内容が中途半端に感じ、それほどのインパクトを受けなかった。既にそういう本もあるのだろうが、「経済ジェノサイド」というのであれば具体的にどれほど悲惨な事態を引き起こしているのかという実態を厚く書くか、逆にフリードマンの理論・思想の丁寧かつ内在的な批判を行うか、どちらかにして欲しかった気がする。著者の立てる二項対立も気持ちはわかるけど、もっと経済思想を内側から食い破るような密度で論じてくれたら面白かっただろうにと残念(それは「新書」の役割ではないのかもしれないが)。短期間で書いたことも、本書に「勢い」をつけたことはあるだろうが、カッコ内のツッコミとか余計なものに思えてしまい(意見には同意するのだけど)、中途半端感を助長していると思えた。