『「ニート」って言うな!』本田由紀ほか(光文社新書)

「ニート」って言うな! (光文社新書)
本田 由紀 内藤 朝雄 後藤 和智
光文社
売り上げランキング: 21519
「怠け者」的な「ニート」イメージの批判としては、必読書なのだと思う。政治的なスタンス(若年雇用の問題を重視するとか、異端排除への警戒とか)も、大まかには異論ない。しかし、最後まで読んでも残る違和感というか物足りなさは何なのだろうか。「『ニート』って言うな!」と言うからにはこの概念の廃棄を提唱しているようであるが、必ずしもそういう展開になっていないように思う。「そうした人はいても少数だ」とか「昔からいた」とか「雇用の問題を重視すべき」とか、よりマシな(?)「ニート」概念の無効性までは言えてないようだし、かといって劣悪な「ニート」像を浸透させたカラクリ(=陰謀)についても、論証というには程遠い。結局、著者らを「ニート」論批判へ向かわせた危機感自体を、私がそもそもあまり共有していないところに私とこの本のすれ違いがあるのかもしれない。そういう意味ではやはり「時代」の本だったようにも思える。