『「戦争体験」の戦後史』福間良明(中公新書)

わだつみ会」を追いかけて「戦争体験」についての戦後史をまとめた本。それなりに丁寧に追いかけているので勉強にはなるが、50年代の辺りで共産党の問題をもっと前面に出した方が妥当なのではないかと思った(自分では研究してないので今のところあくまで勘だが)。また、そうした運動史的な整理の代わりに「教養主義」を舞台とした象徴をめぐる闘争が繰り返し論じられていて、間違いだとは言わないが、逆に解釈を狭めてつまらなくしているという印象を持った。この本は前から読もうと思っていたので、現在の状勢とは何の関係もないのだけど、敗戦後の「悔悟」など、まさに現在の原発問題と同じではないかとしみじみ感じた。